トヨタが誇る二つの伝説的な名前、「クラウン」と「ヴェルファイア」。クラウンは日本の高級セダンの象徴として長年君臨し、ヴェルファイアは高級ミニバンの頂点に立つ存在として絶大な人気を誇ります。では、この二つの名前が一つになった「クラウン ヴェルファイア」とは、一体どのような車なのでしょうか。
この記事にたどり着いたあなたは、きっとその答えを探しているはずです。まず結論からお伝えすると、「トヨタ クラウン ヴェルファイア」は、日本国内では販売されていない、中国市場専用の特別なモデルです 。中国では「クラウン」ブランドがセダンという枠を超え、究極のラグジュアリーシリーズとして展開されており、そのミニバン版の頂点としてクラウン ヴェルファイアがラインナップされています 。
本記事では、まず謎に包まれた「クラウン ヴェルファイア」の正体を解き明かします。そして、その驚くべき価格差や専用デザインを、ベースとなった日本国内で販売されているヴェルファイアと徹底的に比較。
さらに、日本のヴェルファイアが持つ圧倒的な魅力—「おもてなし」を極めた内装、異次元へと進化した走行性能、購入前に知っておきたいメリット・デメリットから最新の納期、驚異のリセールバリューまで—を、専門家の視点から余すところなく解説します。この記事を読めば、究極のミニバンを求めるあなたの疑問はすべて解決するでしょう。
そもそも「クラウン ヴェルファイア」とは?日本で買える?
多くの車好きがその名前に惹かれる「クラウン ヴェルファイア」。しかし、その実態はあまり知られていません。このセクションでは、その正体と日本での購入の可否について、明確に解説します。
王冠を冠した究極のミニバン、その正体
「クラウン ヴェルファイア」は、トヨタと中国の第一汽車集団との合弁会社「一汽トヨタ」が、2021年の上海モーターショーで発表した中国市場専用のフラッグシップミニバンです 。
特筆すべきは、中国市場における「クラウン」ブランドの戦略的な位置づけです。日本ではクラウンが伝統的なセダンモデル(近年ではクロスオーバーなどの派生モデルも登場)として認識されていますが、中国では「クラウン」が一つの車種名に留まらず、トヨタの最上級ラグジュアリーブランドとして展開されています。
このブランド戦略のもと、SUVモデルである「クラウン クルーガー」と共に、ミニバンセグメントの頂点として「クラウン ヴェルファイア」が投入されました 。
この背景には、トヨタが中国市場の特性を深く理解していることが見て取れます。中国の富裕層は、分かりやすいステータス性やブランドの威光を重視する傾向が強くあります。そこでトヨタは、日本で長年培ってきた「クラウン」という名前が持つ絶大なブランド価値を最大限に活用し、既存のモデルをさらに上のステージへと昇華させる戦略をとったのです。
したがって、「クラウン ヴェルファイア」は日本のトヨタディーラーで公式に購入することはできません。それは、日本の自動車愛好家にとっては憧れの対象であり、そのミステリアスさがさらなる魅力を生んでいます。
決定的な違いはエンブレムにあり
クラウン ヴェルファイアと日本のヴェルファイアを視覚的に最も明確に区別するポイント、それはフロントグリル中央に輝くエンブレムです。日本のヴェルファイアがトヨタのCIエンブレムを装着しているのに対し、クラウン ヴェルファイアは、威厳と伝統の象徴である「王冠」のエンブレムを掲げています 。
これは単なるバッジの交換ではありません。王冠エンブレムは、この車が通常のヴェルファイアとは一線を画す、特別な存在であることを無言のうちに物語っています。数十年にわたるクラウンの歴史と威信をその身にまとい、ミニバンというカテゴリーにおいて新たな頂点を築き上げた証なのです。結果として、過去のネッツ店エンブレム、現行のトヨタエンブレム、そして王冠エンブレムと、3種類のエンブレムを持つヴェルファイアが存在することになり、マニアにとっては興味深い事実となっています 。
【徹底比較】クラウン ヴェルファイア vs 日本のヴェルファイア
中国市場の頂点に立つ「クラウン ヴェルファイア」は、日本のヴェルファイアと比べて具体的に何が違うのでしょうか。ここでは、価格、エクステリア、そして内装の3つの観点から、その圧倒的な違いを明らかにします。
違い①:衝撃的な価格差
両者の最も大きな違いは、その価格設定にあります。クラウン ヴェルファイアの価格は、中国国内で約84万7,000元から92万8,000元。これを日本円に換算すると、約1,740万円から1,900万円という驚愕の価格帯になります 。
一方で、日本のヴェルファイアの最上級グレード「Executive Lounge」の価格は約870万円から902万円です 。つまり、クラウン ヴェルファイアは、日本の最上級モデルの約2倍の価格が設定されており、全く異なるクラスの乗り物であることが分かります 。この価格差こそが、その特別性と希少性を何よりも雄弁に物語っています。
| モデル | 価格(日本円換算) |
| クラウン ヴェルファイア (中国仕様) | 約1,740万円~1,900万円 |
| ヴェルファイア Executive Lounge (日本仕様) | 約870万円~902万円 |
違い②:王者の風格をまとうエクステリア
クラウン ヴェルファイアは、日本のヴェルファイアをベースとしながらも、王者の名にふさわしい特別なエクステリアが与えられています。ヘッドライト内部にはゴールドの加飾が施され、フロントグリルやテールゲートのガーニッシュには深みのあるダーククローム塗装を採用 。
これらの専用装備が、ただでさえ迫力のあるヴェルファイアのスタイリングに、さらなる威厳と高級感を与えています。そして、その中心で輝く王冠エンブレムが、この車が特別な血統であることを主張します。
違い③:「走るファーストクラス」と呼ぶべき内装
「クラウン」の哲学が最も色濃く反映されているのが、その内装空間です。専門家からは「移動する応接室」とも評されるその空間は、乗る人を究極のくつろぎへと誘います 。
ステアリングホイールやインパネなど、随所にクラウンのロゴが配され、スマートキーにまでゴールドの差し色が施される徹底ぶり 。さらに、ツインムーンルーフが標準装備され、圧倒的な開放感とラグジュアリーな雰囲気を両立しています 。
特に後席の快適性へのこだわりは尋常ではありません。「エグゼクティブラウンジ仕様」をベースに、最高品質の本革シートや豪華な加飾を採用 。後席のキャプテンシートには、電動リクライニングやオットマン機能が備わり、長距離の移動でもファーストクラスのような快適な時間を過ごすことができます 。まさにVIPを送迎するために作り上げられた、至高の移動空間と言えるでしょう。
ベースとなる日本のヴェルファイアも凄い!その魅力を再確認
中国のクラウン ヴェルファイアが特別な存在であることは間違いありません。しかし、そのベースとなっている日本国内仕様のヴェルファイアもまた、世界最高峰のミニバンであることに疑いの余地はありません。ここでは、私たちが実際に購入できる日本のヴェルファイアが持つ、圧倒的な魅力の数々を再確認していきましょう。
グレードと価格設定:あなたに最適な一台は?
現行の40系ヴェルファイアは、グレード構成がシンプルに整理され、その個性がより明確になりました。主なグレードは、スポーティな内外装と充実装備が魅力の「Z Premier」と、贅を極めた最上級グレード「Executive Lounge」の2種類です 。
パワートレインは、購入者の多様なニーズに応える3種類が用意されています。
- 2.4L ターボガソリンエンジン: 力強い加速とダイレクトなフィーリングで「運転する楽しさ」を追求したモデル 。
- 2.5L ハイブリッドシステム: 静粛性と燃費性能を高い次元で両立させた、洗練された走りが魅力のモデル 。
- 2.5L プラグインハイブリッドシステム (PHEV): Executive Lounge専用で、モーターのみでの静かな走行も可能な、シリーズの頂点に立つ環境性能と動力性能を兼ね備えたモデル 。
このパワートレインの選択肢には、トヨタの明確な戦略が隠されています。兄弟車であるアルファードのガソリン車が2.5L自然吸気エンジンとCVTの組み合わせであるのに対し、ヴェルファイアには専用の2.4Lターボエンジンと8速ATが与えられました 。
さらに、ボディ剛性を高めるフロントパフォーマンスブレースを専用装着するなど、走りに関わる部分で明確な差別化が図られています 。これは、ヴェルファイアが単に「アルファードのスポーティな見た目版」ではなく、ミニバンの広大な空間は必要としつつも、自らハンドルを握り、力強く爽快な走りを楽しみたいという、ドライバー志向の強いユーザーを明確にターゲットにしていることの表れです。
トヨタ ヴェルファイア グレード別価格一覧
| パワートレイン | 駆動方式 | グレード | メーカー希望小売価格(税込) |
| 2.4L ターボガソリン | 2WD | Z Premier | 6,550,000円 |
| 4WD | Z Premier | 6,748,000円 | |
| 2.5L ハイブリッド | 2WD | Z Premier | 6,900,000円 |
| E-Four | Z Premier | 7,120,000円 | |
| 2WD | Executive Lounge | 8,700,000円 | |
| E-Four | Executive Lounge | 8,920,000円 | |
| 2.5L プラグインハイブリッド | E-Four | Executive Lounge | 10,850,000円 |
「おもてなし」を極めた内装空間
新型ヴェルファイアの室内は、日本の「おもてなし」の心を具現化した空間です 。乗員が乗車してから降車するまでのすべての瞬間が、心地よく特別な体験となるよう、細部にまで配慮が行き届いています。
- ユニバーサルステップ: スライドドアの開閉に連動し、地上から約220mmという低い位置にステップが出現。お子様やご年配の方でも楽に乗り降りできます。この機能が運転席側にも設定されたのはトヨタ初であり、すべての人を快適に迎え入れるという思想の表れです 。
- エグゼクティブパワーシート: 2列目シートは、まるでプライベートジェットのようです。電動でのロングスライドやリクライニングはもちろん、トヨタ初となるヒーター付きのオットマンやアームレスト、さらにはリフレッシュ機能まで備え、乗員を極上の休息へと導きます 。NASAが提唱する最も体に負担のかからない「中立姿勢」をベースに設計されており、長時間の移動でも疲れを感じさせません 。
- スーパーロングオーバーヘッドコンソール: これまで天井の各所に分散していた照明やスイッチ類、エアコン吹き出し口などを、天井中央に集約。すっきりとした美しい天井デザインと、どこからでも操作しやすい機能性を両立しています 。
- 所作の美しさ: パワースライドドアや後席のサンシェードの動きにも注目です。ただ開閉するだけでなく、日本の伝統的な建具である「障子」を静かに閉める際の、丁寧で心地よい動きを制御によって表現。作動音の静粛化と相まって、車内にいながら日本の美意識を感じることができます 。
異次元の走行性能と乗り心地への進化
先代モデルのオーナーが新型に乗ると、買い替えを真剣に検討せざるを得なくなる—専門家がそう断言するほど、新型ヴェルファイアは動的質感において劇的な進化を遂げました 。
先代モデルは、豪華な内外装に反して、乗り心地や静粛性が高級セダンには及ばないという指摘がありました 。荒れた路面ではゴツゴツとした突き上げを感じ、高速走行では安定性に課題があったのも事実です。
しかし新型では、プラットフォームを刷新し、ボディのねじり剛性を従来比で1.5倍にまで向上 。さらに、ボディの接合部に構造用接着剤を惜しみなく使用し、サスペンションも専用チューニングを施すことで、これらの課題を根本から解決しました。
その結果、専門家が「極上」と評するほどのフラットで快適な乗り心地と、圧倒的な静粛性を手に入れました 。路面の凹凸をしなやかにいなし、不快な振動や騒音を徹底的にシャットアウト。どんな道でも車内は常に平穏で、まさに「高級車」と呼ぶにふさわしい移動空間を実現しています。その進化は「1レベルどころか2レベルも3レベルも向上した」とまで言われ、ミニバンの常識を覆すほどの完成度を誇ります 。
最新・最強の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」
最高の贅沢は、最高の安心感からもたらされます。新型ヴェルファイアには、最新世代の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備されています 。
このシステムの最大の特徴は、単に危険が迫ってから作動するのではなく、危険を予測して運転を「先読み」でサポートする点にあります。
- プロアクティブドライビングアシスト (PDA): 「歩行者が飛び出してくるかもしれない」「この先のカーブは速度が速すぎる」といった運転状況に潜むリスクをシステムが常に監視。ドライバーが危険に近づきすぎないよう、アクセルオフやウインカー操作に応じて、穏やかな減速やステアリング操作をアシストします。これにより、よりスムーズで安全な運転を自然に促します 。
- 進化したレーダークルーズコントロール: 高速道路の渋滞時、先行車に追従して停止した後、従来は約3秒以内に先行車が発進しないと再発進にスイッチ操作が必要でした。しかし新型では、その保持時間が約3分へと大幅に延長 。停止・発進を繰り返す際のドライバーの負担を劇的に軽減します。
- 交差点での対応範囲拡大: これまでの機能に加え、交差点に進入する際の左右からの接近車両(出会い頭)や、右折時の対向直進車、右左折時の横断歩行者・自転車まで検知範囲を拡大。事故が発生しやすい複雑な状況でも、ブザーや自動ブレーキで衝突回避をサポートします 。
これらの先進機能が、ドライバーと同乗者をあらゆるシーンで守り、心からの安心感を提供します。
ヴェルファイア購入前に知っておきたいこと
ヴェルファイアは非常に魅力的な車ですが、購入を決める前に知っておくべき現実的な情報もあります。ここでは、メリット・デメリットから最新の納期、そして驚くべきリセールバリューまで、購入を検討する上で不可欠なポイントを解説します。
メリット・デメリットを正直レビュー
どんな車にも長所と短所があります。ヴェルファイアを多角的に評価すると、以下の点が挙げられます 。
メリット (良い点)
- 圧倒的な存在感とステータス性: 迫力あるエクステリアデザインは、所有する喜びを満たしてくれます。
- 至高の室内空間: 静かで快適な乗り心地と豪華な内装は、長距離移動を苦にさせません。家族や大切なゲストをもてなすのに最適です。
- 広大なユーティリティ: 7人乗りでもシートアレンジ次第で広大な荷室を確保でき、日常使いからレジャーまで幅広く対応します。
- 驚異的なリセールバリュー: 後述しますが、資産価値が非常に高く、将来の乗り換え時に有利です。
デメリット (気になる点)
- 高額な車両価格: 最廉価グレードでも655万円からと、購入のハードルは決して低くありません 。
- 大きなボディサイズ: 全長約5m、全幅1.85mというサイズは、狭い道や駐車場での取り回しに慣れが必要です 。
- ガソリン車の燃費: 2.4Lターボエンジンはパワフルな反面、燃費はWLTCモードで10.3 km/L前後と、経済性を重視する方には向きません 。
- 一部装備の不在: 最高級ミニバンでありながら、ハンズフリーパワーバックドアが装備されていないなど、細かな点で物足りなさを感じる部分もあります 。
最新の納期情報
ヴェルファイアは非常に人気が高いため、新車の納期が長期化する傾向にあります。2025年時点での情報によると、一般的な納期は3ヶ月から6ヶ月程度が目安とされています 。
しかし、これはあくまで目安であり、人気の「Z Premier」のハイブリッドモデルや、特定のオプションを選択した場合には、納期が半年以上に及ぶことも珍しくありません 。この遅延の背景には、世界的な半導体不足や、旺盛な需要に生産が追い付いていない状況があります 。
納期は販売店が持つ受注枠によっても大きく変動するため、購入を急ぐ場合は複数のディーラーに問い合わせてみることをお勧めします。また、サブスクリプションサービスの「KINTO」を利用すると、通常の注文よりも早く納車される可能性があるため、選択肢の一つとして検討する価値があります 。
驚異のリセールバリューとその理由
ヴェルファイアの購入を検討する上で、最も特筆すべき点の一つがその驚異的なリセールバリュー(再販価値)です。ヴェルファイアは単なる移動手段ではなく、「資産」としての側面を強く持っています。
その最大の理由は、海外での圧倒的な人気にあります 。特にマレーシアをはじめとする東南アジア諸国では、日本の高品質な中古ヴェルファイアが富と成功の象徴として非常に高い需要を誇り、日本の中古車相場を上回る価格で取引されています 。
この強力な輸出需要が国内の中古車価格を支え、結果として驚異的なリセールバリューを生み出しているのです。具体的なデータを見ると、その凄まじさが分かります。
- 1年落ち: 残価率が100%を超える、つまり新車価格以上で売却できるケースも珍しくありません 。
- 3年落ち: 平均残価率は88%以上と、一般的な乗用車の平均(55%前後)を遥かに凌駕します 。
- 5年落ち: 70%を超える高い残価率を維持します 。
この事実は、ヴェルファイアの購入計画に大きな影響を与えます。初期投資は高額ですが、数年後の売却価格も非常に高いため、実質的な負担額(購入価格 – 売却価格)は他の車種と比較して安くなる可能性があります。これは、ヴェルファイアが単なる「消費財」ではなく、賢明な「投資対象」にもなり得ることを示唆しています。
リセールバリューを最大化するためには、人気の高い「Z Premier」グレード、ボディカラーは定番の「ブラック」または「プラチナホワイトパールマイカ」、そしてサンルーフやモデリスタのエアロパーツといった人気オプションを装着することが有効です 。
まとめ:クラウン ヴェルファイアは究極のステータスを求める人のための特別な一台
本記事では、謎に包まれた「トヨタ クラウン ヴェルファイア」の正体から、そのベースとなった日本仕様のヴェルファイアの徹底レビューまで、多角的に解説してきました。
結論として、「クラウン ヴェルファイア」は、中国市場の富裕層のために特別に仕立てられた、王冠を戴く究極のミニバンです。それは、私たちが日本で手にすることのできない、特別なステータスの象徴と言えるでしょう。
しかし、その事実に落胆する必要は全くありません。私たちが日本で購入できるヴェルファイアもまた、決して妥協の産物ではなく、世界最高水準の快適性、力強い走り、そして最先端の安全技術を兼ね備えた、ワールドクラスのラグジュアリーカーです。むしろ、あの特別なクラウン ヴェルファイアが存在し得るのは、この日本仕様のヴェルファイアが持つ圧倒的な完成度という揺るぎない土台があるからに他なりません。
家族との時間を何よりも大切にしながら、自らハンドルを握る喜びも諦めたくない。そして、所有する歓びに満ちたカーライフを送りたい。日本のヴェルファイアは、そんな本物志向のあなたのための、最良の選択肢となるはずです。


